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デジタル通貨が登場したら、QRコード決済が生き残る余地はなくなる?


 QRコード決済は、業界のシェア第1位の座を固めたPayPay(ペイペイ)が、予定通り有料化へ舵を切ると8月19日の会見で発表。以降、競合する楽天ペイ・au PAY・d払いなどが相次いで、新規加盟店の決済手数料を無料にすると打ち出し、事実上加盟店獲得合戦の延長戦に突入した。

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 キャッシュレスの推進を旗印としていたQRコード決済サービスは、利用者にとってはポイント稼ぎという明白なメリットが前面に出ていることから、意識ある層には大いに利用されている。本来、QRコード決済業者が利用者に付与するポイントの原資は加盟店が負担することが必須だが、まずは利用者を囲い込むためのポイント付与競争という先行投資になっているため、今のところ、事業者とってQRコード決済は事業としては成立していないと見るべきだろう。

 極端な例は、「100億円あげちゃうキャンペーン」を始めたペイペイで、思惑通りあっという間に業界のトップシェアを押さえたものの、僅か3年間で「1900億円を溶かした」と言われる程の代償を払った。

 金額的な大小はあるにしても、各社共に身を削るような消耗戦を続けていながら、何とか持ちこたえているのは、決済事業者がいずれも通信事業を営む有力企業だったり、有力企業の傘の下にあるという恵まれた出自であるに過ぎない。反面、利用者にとっては対抗意識を丸出しにして、ポイント付与合戦を繰り広げてくれる状態が望ましいのは言うまでもない。

 問題は加盟店だ。加盟店が少なければ、販促効果があってもなくても決済事業者に支払う手数料を販促費として見ることが出来るが、そこいら中が加盟店となっては利用対象から外されないための保険的な意味合いが高まるだけで、前向きなメリットはないに等しい。

 QRコード決済と言っても、何か特別有難いシステムが組まれている訳ではない。プリペイドカードのスマホ版みたいなもので、利用者が自分好みの決済事業者を選択して予め現金をストックするだけだ。決済事業者は売上金を一定期間管理して加盟店に支払うから、コンビニが本部に売上金を集中しているのに似ている。

 現物が介在しない現金販売と考えると、現金客への販売に手数料がかからないのに、QRコード決済に手数料を支払うシステムに疑問を感じる加盟店が存在するのは、当然であろう。

 民間銀行によるデジタル通貨発行の条件整備が進んでいる。年内から年明けにかけて、70社ほどの企業が参加して実証実験が行われ、22年の後半には実用化される見通しが高まって来た。直ちに市中でデジタル通貨による支払いが可能になることはなくても、徐々に裾野が広がる筈だ。

 一般での利用が浸透して、多くの店頭で支払いに利用されるまでに、それほど時間がかかる訳はないので、数年後にはデジタル通貨払いが当たり前になる時代が到来する。そんな時代に手数料が必要なQRコード決済は存在理由を失うかも知れない。言ってみれば、デジタル通貨がQRコード決済に引導を渡すようなものだ。

 デジタル通貨が出現して、デジタル決済の導入時にデバイス購入の必要が有ろうと無かろうと、都度の手数料というランニングコストが許容される余地は少ない。

 結果として、QRコード事業者が適正な利益を計上して事業を継続するビジネスは、現在も今後もほとんど期待できないと考えるべきだろう。ペイペイが巨額な先行投資を回収するイメージを描くことは難しい。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る


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