Economy

半導体市場は過去最高規模へ EV市場拡大で注目集まるSiCパワーデバイス


 今や、私たちの生活のあらゆるシーンで欠かせない存在となった、半導体。産業機器やインフラ、産業設備、パソコンやスマホはもちろん、家電や自動車にいたるまで、電気で動くほとんどの物に半導体が使われている。ところが、2020年の春頃から、5G通信機器への切り替えや、コロナ禍によるテレワークの普及と巣ごもり需要の急拡大、その後の自動車市場回復と、電動車や自動運転システム開発の加速の影響で、半導体需要に拍車がかかっている。

 アメリカの市場調査会社IC Insightsが6月に市場成長率を19%増から24%増に、またGartnerも22%に上方修正するなど、半導体市場は世界的に絶好調だ。8月には半導体市場に関する世界的統計機関である世界半導体市場統計(WSTS)も、2021年の成長率を6月の19.7%から25.1%に引き上げている。半導体市場としては、過去最高の市場規模となる。

 市場を牽引するのは、成長率47%増を見込まれている産業用途の特殊ロジックICだ。コロナ禍を経て産業界のDX化が加速し、市場を後押しするとみられている。次いで、PC、モバイル、グラフィックス、特殊用途のいずれの用途でも堅調な伸びをみせているDRAMが41%増を見込まれており、それに続く車載用アナログICも31%増と大幅成長が予測されている。とくに車載用アナログICは、2020年の成長率が7%減とマイナス成長であった分、これからの回復に期待がかかる。車載用に関しては、電動化が加速する中、より低損失のパワー半導体への期待も非常に高い。

 そんな中、 グローバル半導体メーカーのローム株式会社が、中国を代表する自動車メーカーの吉利汽車集団(以下、Geely)と、自動車分野の先進的な技術開発における戦略的パートナーシップの締結を発表した。両社は2018年より技術交流を開始し、さまざまな車載アプリケーションの開発で協力関係を築いてきた。今後はとくに、SiCパワーデバイスを中心としたロームの先進的なパワーソリューションを活用し、高効率のトラクションインバーターや車載充電システムを開発することで、電動車の航続距離伸長やバッテリーコストの低減、充電時間短縮を目指すという。また、その成果の第一弾として、Geelyが現在開発中の電気自動車用プラットホームに、ロームのSiCパワーデバイスを搭載したトラクションインバーターを採用したという。

 本格化してきた電動車普及を背景に、仏ルノーとSTマイクロエレクトロニクスや韓国・現代自動車とインフィニオンなど、自動車メーカーとパワー半導体メーカーの協業も増えている。プレイヤーが少ないだけに、今後は、技術提携だけでなく、パワー半導体を安定的に確保するための競争も激しくなるだろう。

 半導体の旺盛な需要は2021年内も続く見通しで、安定して調達できるようになるには、まだしばらく時間がかかりそうだ。家電製品の在庫品薄など、般家庭への影響も心配される。しかし、半導体の市場にかつてない大きな波が来ていることも確か。日本政府も「半導体・デジタル産業戦略」を6月にまとめ、「先端半導体製造技術の共同開発と生産能力確保」や「デジタル投資の加速と先端ロジック半導体の設計・開発の強化」「グリーンイノベーション促進」などを掲げて半導体産業のサポートを強化している。

 1980年代後半にアメリカを追い抜き、一時は半導体王国ともいわれた日本の存在感を、この好機を活かして取り戻してもらいたいものだ。(編集担当:藤原伊織)

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