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相場展望3月8日号 米ナスダックに難敵、(1)金利高(2)巨大IT規制強化 ナスダック高値から▲9.7%安で『調整局面入り?』

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)3/4、NYダウ▲345ドル安、30,924ドル
  ・長期金利上昇で、3日間続落した。(日経新聞)
  ・パウエルFRB議長はインタビューで、長期金利上昇に対する具体的な抑制策に言及しなかった。この発言後に長期金利が1.56%に上昇し、投資家心理が悪化し、売り優勢となった。金利が上昇すると、相対的に割高感が意識さるハイテクなどの高PER(株価収益率)銘柄を中心に売られた。下げ幅は一時▲700ドルを超えたが、コロナワクチン接種普及や追加経済対策で景気回復するとの思惑で下げ渋った。

【こちらも】相場展望3月4日号 米長期金利上昇⇒債券損失⇒株式動揺の構図に注目

 2)3/5、NYダウ+572ドル高、31,496ドル
  ・強い雇用統計とドル高を受けNYダウは高く始まったが、金利上昇を嫌気し上げ幅を縮小したものの、その後再び予想を上回る雇用統計で心理が改善し幅広い銘柄が買われた。

●2.急落後の株式反発は、日柄調整の段階を踏む必要がある

 1)日柄調整の段階:急落⇒自律反発⇒戻り売り⇒下値確認⇒押し目買い本格化⇒上値トライ
 2)ハイテク株が多いナスダック総合は2/12最高値から▲9.7%下落し、3/5は+1.5%高となった。3/5の上昇は、(1)自律反発の範囲内か? (2)本格反騰か? 見極めが重要。

 3)日米の主要株価指数の推移
            高値     最近安値           3/5
   NYダウ    2/24 31,961$ 3/04 30,924$ ▲ 3.2%安  1,496$ ▲1.4%安
   ナスダック総合 2/12 14,095  3/04 12,733  ▲ 9.7   12,920  ▲8.3
   SP500     2/12  3,934  3/04  3,768  ▲ 4.2    3,841  ▲2.3
   米半導体株指数 2/16  3,238  3/04  2,831  ▲12.5    2,920  ▲9.8
   日経平均    2/16 30,467円               28,864円 ▲5.2
   TOPIX     2/16  1,965  3/04 1,884  ▲ 4.1    1,896  ▲3.2              

●3.米市場の関心

 (1)過大と指摘される追加済対策1.9兆ドル(約206兆円)による景気のオーバーシュート
 (2)インフレ加速
 (3)上記事項を反映した米長期金利の上昇

●4.米10年債利回りが1.75%に上昇するか、見極めが重要

 1)米株指数SP500の配当利回りは1.5%。

 2)米10年債利回りが1.2%近辺から債券安・株価動揺が始まっている。

 3)米10年債利回りが1.75%まで上昇すると、本格的に資金が株式⇒債券に流れが変わる確率が高い。とりわけ、債券市場から株式市場に流入した資金の多くが、株式を売って債券場に還流するおそれが確実にでるだろう。

 4)そして、金利上昇は債券損失につながるだけに、債券損失処理と抱き合わせで含み利益がある株式が売られやすくなる。以上のように、金利上昇は2つの理由で株式市場が厳しい局面を迎える可能性がある。

●5.3/4の米国株式の下落基調は、一時的反発があっても、3/17のFOMCまで続くか?

 1)パウエル発言を発端にした長期金利上昇で株価下落したため、投資家の疑心暗鬼を止められるのは、次回FOMC(3/16~17)(米連邦公開市場委員会)の市場への発信まで続く可能性がある。

 2)長期金利が落ち着くまで、株価は不安定が続く。金利が落ち着けば、株価は再上昇すると見られる。

●6.米国株は、長期金利上昇で弱気相場へ

 1)半導体株指数(SOX)は高値から3/4現在▲12.5%も下落し、「調整局面入り」といわれる▲10%下落の水準を超えた。

●7.近づく『調整局面入り』、半導体株の主導で下げ加速(日経新聞)

 1)ナスダックは3日続落で、昨年末の水準を下回り、今年に入っての上昇を帳消しにした。

 2)2月高値からの下落率は▲9.7%に達し、調整局面入りとされる『10%』に近づいている。これまで株価上昇を牽引してきた半導体株が、下げを主導する形で加速し、ハイテク株高に陰りとなっている。

●8.米注目銘柄の株価は既に下落が始まっている

   銘柄          高値     3/05  下落率
  アップル      1/25  142.9ドル   121.4ドル ▲15.0%
  アルファベット   2/16 2121.9    2108.5   ▲ 0.6
  ネットフリックス  1/20  586.3     516.3   ▲11.9
  アマゾン      9/02 3531.4    3000.4   ▲15.3
  フェイスブック   8/26  303.9     264.2   ▲13.0
  テスラ       1/08  880.9     597.9   ▲32.1
  ズーム       2/24 2779.0    2489.0   ▲10.4
  セールスフォース  9/01  281.2     210.7   ▲25.0
  ゲームストップ   1/27  347.5     137.7   ▲60.3(参考:2/17 45.9ドル)

●9.米国債入札に注意(モーニングスター)

 1)米国では、9・10・11日のそれぞれ3年・10年・30年債の入札が予定されている。今回の金利急騰の引き金は、前月に行われた 7年債の入札不調だっただけに、市場に警戒感が先行しやすい。

 2)米金利高が止まらない限り、株式の反騰はできない。

●10.FRBパウエル議長は『長期金利急上昇に強い警戒感を示さず』、株価は大幅下落(NHKより抜粋

 1)パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は3/4の講演会で、
  ・「債券市場の混乱が続けば、景気回復に向けたFRBの目標達成が危ぶまれる」と述べ、長期金利の上昇に懸念を示した。
  ・ただ、「経済活動の再開に伴って消費が増えれば、物価は上昇する可能性がある」とも述べて、市場では「期待したほど強い警戒感を示さなかった」と受け止め、逆に長期金利の上昇につながった。

 2)パウエル議長発言を期待して3/4、NYダウは上昇していたが、発言直後にNYダウの値下がり幅が一時▲700ドルを超える大幅な下落となった。その後、NYダウは買い戻されたが、終値は▲345ドル安い、30,924ドル。(なお、翌3/5は長期金利上昇を無視し、良好な雇用統計を反映して景気回復期待が高まりNYダウは+572ドル高となった。)

 3)IT関連銘柄の多いナスダック総合指数は3/4、▲2.1%を超える急落で、この日の値下がりで今年の上昇分がなくなり、去年末に比べてマイナスに転じた。

●11.良好な雇用統計の結果を受けて米国債10年利回りは一時1.62%まで上昇(債券価格は下落)

 1)金利上昇と共に、ドル買いも強まり108.64円まで上昇(フィスコ)

 2)3/8の週の経済指標でも米景気回復を示す内容となれば、米10年債利回りが再び1.6%台まで、上昇する可能性がある。3/10に消費者物価指数、3/12にミシガン大学消費者信頼感指数の発表がある。特に、物価上昇圧力が強まっているかを表す消費者物価指数に注目したい。

●12.1.9兆ドル(206兆円)追加経済対策法案は上院通過、下院再可決で成立(ブルームバーグ)

 1)内容
  (1)年間所得7.5万ドル(カップルで15万ドル)未満の個人に1,400ドル(15万円)の直接給付。3月中に小切手の配布が始まる見通し。
  (2)失業保険給付の上乗せ額は週300ドル(週3.2万円)(当初案400ドルを修正し上乗せ期間を今夏まで延長する)
  (3)コロナワクチンと検査に1,600億ドル
  (4)州政府と地方自治体に3,500億ドル
  (5)17歳以下の子供の関する税額控除を2,000ドルから3,000ドルに引上げ

 2)下院で採決した最低賃金を時給15ドルに引上げる法案は、上院案では削除(産経新聞)

 3)対策規模は、米国内総生産(GDP)の1割に相当し、国際通貨基金(IMF)は米GDPを今後3年間で累計5%程度押し上げると、分析している。(産経新聞)

 4)今後、(1)大規模インフラと、(2)製造業の回復法案、を推進する。(ブルームバーグ)

●13.米大統領補佐官にフェイスブック解体論者が就任し、巨大IT規制強化か(読売新聞より抜粋

 1)米バイデン政権は3/5、米コロンビア大学のティム・ウー教授の起用を発表した。ウー氏は反トラスト法(独占禁止法)の専門家で、巨大IT企業に対する規制強化を提唱してきた論客。バイデン政権がフェイスブックなど巨大ITに厳しい政策を打ち出す可能性が高まった。

 2)バイデン政権は大統領選挙の公約で、巨大IT企業への規制強化を掲げていた。

 3)米議会下院は昨年秋、巨大ITの事業分割を含む大幅な規制強化策の検討を求める提言をまとめている。

 4)サキ大統領報道官は3/5、「バイデン大統領は巨大IT企業などによる権力の乱用に立ち向かう」と述べ、ウー氏への期待を示した。

●14.イエレン米財務長官は、米長期金利上昇は景気回復への期待とし、インフレは否定(共同通信より抜粋

 1)イエレン財務長官は3/5、最近の長期金利上昇は金融市場のインフレ懸念ではなく、米経済の力強い回復への期待が引き起こしたものだ、との考えを示した。

 2)そして、新型コロナウイルスの感染拡大前の雇用情勢を取り戻すには総額1.9兆ドル(約206兆円)の追加対策が不可欠、と強調し、議会上院に早期の可決を求めた。

 3)インフレに関しては、「金融市場が、連邦準備制度理事会(FRB)が掲げる2%目標を上回るインフレ率の上昇を予測しているとは思えない」と述べ、インフレ懸念を否定した。

●15.金の先物価格は金利が付かないため、米長期金利上昇に伴って、下落

 1)金利が付かない金は低金利下では買われやすいが、金利上昇で逆風となっている。

●16.米2月雇用統計の非農業部門雇用者数は+37.9万人と、10月来で最大の伸び(フィスコ)

 1)失業率は6.2%と、1月6.3%から低下し、昨年3月来で最低となった。
 2)平均時給は前月比+0.2%、前年比+5.3%と予想通り。

●17.米・先週分新規失業保険申請件数は74.5万件と、予想75.5万件を下回り改善した(フィスコ)

●18.NY原油先物が66.7ドルと急伸、OPECプラスが4月生産を現状維持と決定を受け(フィスコ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)3/4、上海総合指数▲73安、3,503
  ・内外の金利高が警戒され、上海総合指数は▲2.1%安と約1カ月ぶりの安値水準に落ち込んだ。
  ・全国人民代表大会が開幕し、経済対策に対する期待は根強いものの、ひとまず模様眺めのスタンスが強まった。(亜州リサーチ)

 2)3/5、上海総合指数▲1安、3,501
  ・アルミや銅の商品安が嫌気される流れとなった。(亜州リサーチ)

●2.中国・全人代が開幕し、経済成長率6%以上を目標(NHK)

 1)中国で重要政策を決める全人代(全国人民代表大会)が始まり、中国政府は政府活動報告で今年の経済成長率の目標を6%以上としたと明らかにした。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)3/4、日経平均▲628円安、28,930円
  ・米長期金利が上昇し、ナスダック総合などが下落した流れを引き継いだ。
  ・金利上昇を受けて銀行や保険が堅調だった。
  ・自社株買を発表した企業に買いが集中した。

 2)3/5、日経平均▲65円安、28,864円
  ・米長期金利の上昇と、米国株の下落を受けて、日経平均は一時▲600円超下落した。後場、日銀・黒田総裁の「長期金利は低下に転じる」発言を受けて取り敢えずは日本10年長期金利が前日0.135%⇒0.080%に急低下し、株式は買い戻しが入った。

●2.外資系は先物手口の、日銀ETF購入による株価買い支えを意識しない売り攻勢に注目

 1)3/5、前場は下落一方で前場引け値▲571円と、日銀の株価操作を無視した動きに注目。
  ・日経平均の更なる先行き下落を見越した売りの可能性。
  ・日経平均の高値からの下落率▲10%を超えると、本格的調整局面入りの可能性。

 2)3/5後場は、日銀ETF購入+501億円が前日に続き実施され、日経平均は▲65円まで大きく戻した。
  ・先物手口3/5を見ると、外資系の売り▲10,199枚に対して野村+11,000枚買いと拮抗。
  ・野村一人と日銀が買い支えた構図となっている。

●3.米長期金利急伸で日米金利差の拡大続き、ドル高・円安が続く

 1)日銀・黒田総裁発言で日本10年債利回り低下(3/4 0.135%⇒3/5 0.080%)して、日米金利差が更に拡大したためドル・円は円安に振れた(3/4 107.11円⇒3/5 108.52円)

●4.市場の関心

 1)米長期金利の上昇(大規模1.9兆ドルの景気への過大支援策、米インフレ率、原油価格)
 2)米国株の動向
 3)メジャーSQ(特別清算指数)を控えた乱高下に注目

●5.赤羽・国土交通相は、「停止中のGO TOトラベルの再開は当面難しい」との認識(NHK)

●6.企業動向

 1)ユニクロ・GU  節約志向に対応し、実質▲9%値下げへ3/12実施(クミコム)
           なお、特別措置法が3/31で終了し、4/1から総額表示が義務化される。
 2)アサヒビール   国内営業拠点を半数以下に集約、ビール工場は遠隔監視の検証(時事)
 3)JCRファーマ   神戸にコロナワクチンの原液製造工場建設へ(毎日新聞)
 4)日本製鉄     国内鉄鋼需要減少で鹿島の高炉1基を休止(NHK)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6502 東芝     米投資運営会社ブラックロックが株主3位に。
 ・7312 花王     業績堅調、増配期待。
 ・4502 武田薬品   黒字転換、高配当。
 ・5019 出光興産   原油高で増益期待。
 ・6698 ヴィスコ   業績堅調、株価底値圏。


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