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虹色ダイバーシティの「職場のLGBT白書」を、是非読んで欲しい理由

 認定NPO法人虹色ダイバーシティ(以下、虹色ダイバーシティ)。「LGBTなどの性的マイノリティとその家族、アライ(同盟者)の尊厳と権利を守り、誰ひとりとり残さない社会の実現を目指す」をコンセプトに、諸々の啓蒙活動を展開している。

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 そんな虹色ダイバーシティが昨年12月28日に発表した「職場のLGBT白書」に接した。2018年・19年・20年と3年連続で累計7162人規模のアンケート調査を行っており、その現状をまとめたものだという。冒頭、理事長の村木真紀氏は、「調査に協力してくれた7162名の声は、より実効性の高い法整備や行政・企業のLGBT施策の必要性を強く訴えている」と記している。

 12月26日付けの朝日新聞デジタルは、『「LGBT差別廃止禁止」84社が明文化 100社調査、課題も浮かぶ』と題する記事を配信している。その中でもパートナーシップ制度(自治体が同性カップルを婚姻同様の関係にあると認め証明書等を発行する制度)に関し、虹色ダイバーシティでは「導入自治体数は約130に上り、人口では日本全体の4割をカバーするが、地域差はある」としていると記している。

 話を虹色ダイバーシティの調査による、「職場」におけるLGBTの現状に進める。

◆格差: トランスジェンダー(性自認が出生時の性別と一致しない人)は有識者の割合が少なく、非正規雇用が多い。また生まれ女性のトランスジェンダーやバイセクシャル女性等で、年収200万円以下の場合が多い。

◆差別的言動: 20年でも同性愛者の39.3%、トランスジェンダーの38.8%が職場での差別的言動が多いと回答。中には性犯罪にあたるようなケースもある。

◆中小企業: 20年ではLGBT施策が「ない」という回答は、大企業・官公庁中心に減っている(36.3%)。しかし施策の数はアライの存在などで中小企業がとり残されている。施策なしの回答は中企業が72.8%、小企業で83.8%に達している。22年4月のパワハラ防止対策の義務化を控え、中小企業での取り組みが必要だ。

◆カミングアウト: パートナーシップ制度のある自治体に居住している同性愛者等は、職場でのカミングアウト率が比較的高かった。

◆うつ: うつにチェックを入れたトランス女性(出生時の性別は男性)は36.5%と高率。1人暮らし割合が高く、孤独・孤立のリスクに目を向ける必要がある。

◆20年には新型コロナウイルス禍で、多くのLGBTが貧困の経験をしている。非正規雇用や元々メンタルヘルスの状況がよくないトランスジェンダーで、在宅勤務の比率が低く、預金残高が1万円以下になった人が31.3%にも上った。

 私は19年10月14日に(財経新聞)経済欄に『LGBTに対する優しさの広がり』と題する原稿を、20年3月17日に経済産業欄に『性的マイノリティ者に賃貸住宅を仲介する業者』という記事を投稿した。前者はリクルートの住宅専門誌:SUUMOにLGBTフレンドリーという項目が加わった話、後者は自らもLGBTをカミングアウトした仲介業者のLGBT向け賃貸住宅斡旋の「何故」を記した話である。

 昨年の国会で、性的少数者への理解を増進するための法案提出を自民党は見送った。

 乱暴な言い方かもしれないが「人がどう生きていきたいかは、当人が選ぶものである。それを阻もうとする行為は犯罪である」。

 なお白書は村木氏をはじめ、平森大規氏(国際基督教大学ジェンダー研究センター研究員)、三上純氏(大阪大学大学院人間科学研究科)、山脇佳氏(同)により執筆されていることを付記しておく。(記事:千葉明・記事一覧を見る


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